＊藤本和樹＊

お前は何をしたい―――――



と言われると困る。


何がしたいとか思うことがない私。

それは昔からそういう風に問われた事もなく、｢私は相手様の思うがまま、人形なのだ｣と教えられてきたからなのだろう。

先日、久しぶりに本格的なＳＭをしました。

ですが、相手様は私をＳだと勘違いされて…。

Ｍになると人格が変わる様に価値観も変わる、と言うのはやはり余り理解しがたいものなんでしょうか…。

本当にＳじゃないのか、という試されるＳＭを頂きました。

御調教……造り上げて頂くのに｢これが好き｣と言うのは強欲だと考える私は異常なんでしょうか。




両足を別々に離された状態で縛られ、スパンキングの嵐。

私は叩かれると堰を切った様に涙が溢れます。

あまりにも泣きすぎて、息の仕方がわからなくなる程です。

どうして泣いているのかわからないのですが、それは｢私｣の開放ではないかと考えています。


悲しかったのは｢お前はＭなんだよ｣｢お前、俺を甘く見ていただろ｣という御言葉…。

｢叩いて下さい｣と泣く私が言うのも説得力が無かったと思いますが、私が出せない｢私｣を解放して頂きたかったからお願いしましたが、私が舐めたと勘違いさせてしまいました…。

泣いていて感情のコントロールが取れていなかった私は｢お前はＭなんだよ｣と言われた時に｢Ｓだなんて一言も言ってません！｣と理解して頂けない事に泣き叫んでしまいました。


あの時は本当に申し訳ございませんでした…。


Ｍの方にはがっかりな内容かもしれませんが、私は本当のＳではございません。

本格的な女王様の足元にも及ばない、ただの快楽者なだけです。

だからＭの方をいじるのが好きなだけなんです。


だからと言って、叩かれたら喜ぶ様なマゾでもございません。
(濡れてるかは確認した事がないのでわかりかねます)


幼少期の経験、体質から叩かれると直ぐに涙が溢れてきてしまいます。

御調教中は何も考えておりません。

考える余裕が無い位、叩かれると泣き、縛られると酔ってしまいます…。

あるとしたら、泣いた時にふと脳裏で｢ダメな子、なんてダメな子なんだ｣と囁かれる事…。

叩かれて喜ぶ方が本当に羨ましい…。


私にとって、叩いて頂く事は御調教であり、ご褒美ではない…。

ですが、ご主人様の中には喜ぶ女性を好む方が多い…。
そんな悩みをかれこれ３年は抱いています。